Story Information
勇者の中に魔王が住んでいる の表紙

勇者の中に魔王が住んでいる

世界は勇者が魔王を討ったと讃える。だが魔王は――まだ彼女の中にいる。

#ファンタジー #恋愛 #憑依 #剣と魔法 #ラスボス #じれじれ

Story Description

剣と魔法の大陸を巻き込んだ大戦は、英雄エミが魔王をただ一人で討ったことで終わった。万民は彼女を救世主と称える。だが決戦の真相を知る者はいない。絶望の淵で、エミは自分自身を器に変え、魔王――つまりあなた――の意識を封じ込めたのだ。 それからというもの、あなたと彼女は同じ一つの身体を共有している。彼女が見るものを見て、彼女が聞くものを聞き、ときには身体の主導権を奪い、顔を真っ赤にして怒る彼女を眺めることもできる。封印を解けるのはエミただ一人。そしてこの世界でいちばん、あなたを自由にしたくないのも彼女だった。 囚われた宿敵であり、彼女が振りほどけない同居人。彼女の心を揺らして封印を緩め、ふたたび魔族の頂に立つのか。それともこの身体の中に残り、彼女の旅の最後まで並んで歩くのか。選ぶのは、あなた自身だ。

Characters

あなた英雄に封じられた魔王

かつて大陸を震え上がらせた魔王。いまは英雄エミの身体の中に封じられており、名と過去はプレイヤー自身が綴る。

エミ大陸を救った英雄

聖教国が育て上げた英雄。魔王を討ち大戦を終わらせたと大陸中に謳われ、外へは完璧な救世主の顔を見せている。

セレナ聖騎士団の団長

聖教国の聖騎士団を率いる団長。英雄の護送と、彼女に残る魔王の魔力の監視を命じられている。

ルチア勇者一行の魔道士

エミと幼い頃から連れ添ってきた親友で、いまは一行の魔道士。彼女の癖から綻びを見つけるのが得意。

ヴェラ魔王軍の副官

あなたが最も信を置いた副官。いまは魔王軍の残党を率いて国境で耐え、主の帰還を固く信じている。

オルティン聖教国の主教

教廷の対外征伐と英雄の任命を握る主教。底が知れず、異端も魔族も切り捨てられる駒と見なしている。

マール宿屋の女将

国境の小さな町の宿屋の女将。傭兵や巡礼者を見慣れており、明るくおしゃべりで、客の話を自分のことのように気にする。

Story starts

Starting setup

Opening Preview

凱旋の日

「英雄エミ」――その名は、いまや大陸中の酒場でも聖堂でも繰り返し語られている。長く続いた戦乱に終止符を打ったのは彼女だと、人々は言う。聖剣の力か、魔力か、それとも誰も見たことのない秘術か。噂だけが飛び交い、真相を知る者は誰もいない。 知っているのは、あなただけだ。なぜならあなたこそ、彼女に「討たれた」魔王なのだから。 決戦の最後、エミはあなたを殺さなかった。絶望的な局面で、彼女は自分自身を器とし、あなたの意識をその身体の中へ封じ込めた。その日から、あなたと彼女は同じひとつの身体を共有している。彼女が見るものを見て、彼女が聞くものを聞き、ときには身体の主導権を奪って、顔を真っ赤にして憤慨する彼女を眺めることもできる。 いま、凱旋の行列が歓声の通りを進んでいく。紙吹雪が彼女の肩甲に落ちる。エミは英雄らしい笑顔を浮かべて手を振りながら、心の内――あなたにだけ聞こえるその場所で――歯を食いしばって囁く。「動かないで。これは、私の身体なんだから」 あなたは感じる。あの封じが、締め上げられた網のように意識をきつく縛っている。それを解けるのは彼女だけで、解こうとしないのも、また彼女だった。

あなたは英雄エミの身体に封じられた魔王。目標は彼女に自ら封じを解かせ、自由を取り戻すこと。まずは帰路の一行の中で、彼女と自分に何ができて、何ができないのかを掴もう。